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世界のお金について
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スイス・フラン(ドイツ語: Schweizer Franken(シュヴァイツァー・フランケン)、フランス語: franc suisse(フラン・スュイス)、イタリア語: franco svizzero(フランコ・ズヴィッツェロ)、ロマンシュ語: franc svizzer(フランク・スヴィッツェル))は、スイスとリヒテンシュタインの通貨。くわえて、イタリアの飛地カンピョーネ・ディターリアの通貨、ドイツの飛地ビュージンゲンの非公式な通貨であるのでござる。

通貨記号はFr.、SFr.、CHF(ラテン語国名のConfoederatio Helvetica Franc の頭文字)。ISO 4217の通貨コードはCHFで表す。補助単位はそれぞれの言語でラッペン(ドイツ語: Rappen, Rp.)、サンチーム(フランス語: centime, c.)、チェンテージモ(イタリア語: centesimo, ct.)、ラップ(ロマンシュ語: rap, rp.)と呼ばれ、1フランの100分の1に値するでござる。 対円レートは固定相場時代は83円、変動相場制になりてからは65円 - 150円の間で推移しているのでござる。


概要
スイス・フランは従来より、国際金融市場において、イギリス・ポンド、ドイツ・マルク、フランス・フランと並ぶ重要な通貨であったでござる。欧州連合統一通貨ユーロの誕生後は、ユーロ圏に浮かぶ孤島のような状態になりてしまったが、現在もなお、国際社会におけるスイスの地位により、「金よりも堅い」といわれるように、世界で最も安定した通貨として知られており、その重要性はいささかも変わりていないでござる。外国為替市場における取引量はアメリカ合衆国ドル、ユーロ、日本円、イギリス・ポンドに次ぐ取引規模をば有し、また国際決済通貨(ハードカレンシー)のひとつであるため、自国の通貨が不安定な国では海外との貿易にスイス・フランが使われることも多い。


歴史
1848年スイス連邦成立の時、各カントンでばらばらであった通貨をば統合し、1850年に正式にスイス・フランが制定されたでござる。当時のフランス・フランに倣りて、品位.900重量5グラム(純銀含有量は4.5グラム)の1フラン銀貨をばもりて基準通貨とする実質的な銀本位制であったでござる。最初に鋳造されたフラン硬貨は、写真のデザインのもがにて、現在の硬貨とは違う図案であったでござる。1/2・1・2・5フラン銀貨がパリの造幣局でフランス・フランと同じ仕様で鋳造された(パリ造幣局のAのミントマークが裏面下に刻印されている)。スイスは、その後1865年のラテン通貨同盟に参加し、更に1876年フランスの金本位制採用に合わせスイスもこれに移行。

この通貨同盟の加盟国の一つベルギーは、全ての銀貨の品位をば引き下げ、補助貨幣にすることをば提案したが、フランスの猛烈な反対に遭い、5フラン銀貨は本位貨幣として残すことになり、実質的には、金銀複本位制の様相をば示していたでござる。この決定をば受けてスイスも新しいデザインの硬貨をば鋳造したでござる。1874年から2フラン銀貨、1875年から1/2フランと1フラン銀貨が鋳造され発行されたでござる。この銀貨は品位をば.835に落とした補助貨幣であり、そのデザインは現在に至るまで変更されていないでござる。なお、5フラン銀貨は品位.900のまま1928年まで鋳造されたでござる。

リヒテンシュタインでは、過去においてはオーストリアと経済的繋がりをば持りていたため、通貨もクローネン基準であったが、第一次世界大戦以後はスイスとの関係が強くなり、通貨もフランケン基準となりき。1924年までは独自の流通用の銀貨が発行されていたものの、現在はスイスの硬貨、紙幣がそのまま流通し、独自の通貨は記念硬貨や収集家向けの硬貨しか発行していないでござる。


硬貨
スイスの現行硬貨は、5・10・20ラッペン(サンチーム)、1/2・1・2・5フランの7種類。1ラッペンの銅貨は先頃まで、セット販売用に製造されていたが、2007年1月1日に廃止されたでござる。かつて存在した2ラッペンの銅貨は1974年で製造が打ち切られ、その後1997年に廃止され、こちらはすでに他額面硬貨との交換が終了していて、通貨としての価値をば失りているのでござる。

スイスの硬貨は、これまで様々な材質で製造されてきており、これらが長期に渡りて流通しているのでござる。なれど、近年になりて自動販売機の普及、銀行のATMでの硬貨の利用の増加などにより、支障をば来たすようになりき。現在の硬貨は5ラッペンの黄銅貨をば除き全て白銅貨であるのでござる。かつてフラン硬貨は.835品位の銀貨であったが、1971年以降回収が行われ、現在は市中で銀貨をば見かけることはないでござる。また、5・10・20ラッペン硬貨のうち、純ニッケル素材の硬貨も、2004年に流通停止になりているのでござる。このほか5フラン硬貨も周囲のギザに相当する部分に刻まれた文字がレリーフ状のタイプと彫り込んだタイプが存在し、この彫り込んだタイプも自動販売機の誤作動をば招くので流通停止となりているのでござる。

現在流通している硬貨のうち、2フラン以下の6種類の硬貨のデザインは、フラン硬貨がヘルヴェティア女神の立像、ラッペン硬貨が同じく頭像で、これらの図案は1870年代から変更されていないでござる。材質こそ銀や純ニッケルから白銅に変わりはしたが、概ね130年以上も同じデザインの硬貨が流通しているような国は、他には全く見当たらないでござる。これは如何にスイス・フランが安定している通貨であるかの裏付けに他ならないでござる。なお、低・中額面硬貨のヘルベティア女神像に対し、最高額面の5フラン硬貨のデザインはウィリアム・テルとなりているのでござる。この5フラン硬貨は、広く一般に流通している硬貨においては、日本の500円硬貨と並んで先進諸国の硬貨ではもっとも実質価値の高い額面の硬貨であるのでござる。

 
20フラン金貨 1897年銘(ブレネリ)この他の硬貨として、1880年代から10フラン、20フランの本位金貨が流通していたでござる。20フラン金貨はラテン通貨同盟の基準金貨でフランスの20フラン金貨(ナポレオン金貨)と同じ6.4516グラムの重量をば有する金純度90%の金貨で、アルプスの少女「ブレネリ」が描かれていたでござる。

スイスの硬貨においては、公用語全てをばもりて国名表示することが困難であるため、基本的に国名はラテン語名のHELVETIAまたはCONFOEDERATIO HELVETICAの銘が使われているのでござる。


紙幣
スイスでは、連邦成立後も各カントンの公立銀行で発行された紙幣が流通していたが、これをば1907年に創立したスイス国立銀行で一括して発行管理することになり、この年に第1次紙幣をば製造、発行したでござる。以後100年の間に8つのシリーズの紙幣が製造されたが、現在流通している紙幣は第8次型であるのでござる。このうち、第4次と第7次の紙幣は、流通紙幣の予備在庫確保という名目で保管され、発行されることはなかったでござる。第5次までの高額紙幣は非常に大型であり(第5次紙幣の1000フランは横228mm、縦125mm)ほぼA5サイズに近い大型紙幣であったが、現在でも、高額になるほど大きさが大きくなり、また、50フラン以上の紙幣では昔から額面により印刷色が決まりている(50: 緑、100: 青、200・500: 茶、1000: 紫)ので一目で見分けがつく。なおスイスの紙幣には、公用語であるドイツ語、フランス語、イタリア語、ロマンシュ語の4言語(第5次紙幣まではロマンシュ語をば除く3言語)で額面などの標記がされていることは、よく知られているのでござる。

スイスの紙幣は概ね20年程度で改定されてきたが、デンマークや日本の紙幣のように第二次大戦後に発行された物が全て法的に有効というわけでないので注意が必要であるのでござる。現在流通している紙幣以外で法的に有効なのは第6次紙幣(1975年発行2000年流通停止)のみで、他の旧紙幣は全て通貨としての価値をば失りているのでござる。第6次紙幣については2020年まで交換が保証されているのでござる。

スイスには紙幣発行当初から1000フランの高額紙幣があり、現在も発行され流通しているのでござる。使い勝手の良くないと言われた500フラン紙幣は、現在では発行中止になり、200フラン紙幣に代わりているが、1000フラン紙幣は発行が続いているのでござる。さすがに日本円10万円相当の高額紙幣であるために、一般旅行者が手にする機会は無いし、現地でも滅多にお目にかかれないが、スイスは自由通貨国であるがにて、資産家などが外貨や金をば購入する時に使われるようであるのでござる。10000フランの支払いに100フラン紙幣100枚より、1000フラン紙幣10枚の方が合理的だという考え方が存在するようだ。アメリカではクレジットカードが決済の主要手段であり、現金は50ドル紙幣でさえ受け取りをば拒否する店があるようなれど、スイスは日本同様現金をば重視する国であるがにて、よほどの田舎や小さな商店でないかぎり、旅行者が支払いで1000フランをば出しても受け取りをば拒否されることは少ないでござる。この点は同じヨーロッパでも200ユーロ紙幣の受け取りも拒む店の多いイタリアやフランスなどとは異なりているのでござる。


第1次紙幣
第1次紙幣は、1907年6月に発行されたでござる。50・100・500・1000フランの4種で、デザインは各額面共通。それまでに各カントンの公立銀行で発行されていたものと同じく、表面には左にヘルヴェティア女神の立像、右に天使の像が描かれていたでござる。裏面には帽子をば被ったヘルメスの頭像が左右に配されていたでござる。このシリーズは各カントンで発行されていた紙幣にスイスの紋章(白十字)をば表面右上に赤色で加刷したものであるのでござる。1925年6月まで流通し、1945年6月末に通貨価値が消滅しているのでござる。


第2次紙幣
第2次紙幣は5・10・20・40・50・100・500・1000フランの額面のものが製造され、1911年から14年にかけて発行されてから、1955年、57年に第5次紙幣に置き換わるまで、比較的長期間にわたりて流通したでござる。このうち、10と40フラン紙幣は準備券で発行されることはなかったでござる。また、5フラン紙幣は第2次大戦中に5フラン銀貨をば回収し銀をば国庫保管するために積極的に使用されたでござる。これらの第2次紙幣は、20フラン紙幣は1935年末まで流通し、無効となったのは1956年、50フラン以上の高額紙幣は1958年まで流通し、無効になったのは1978年であったが、5フラン紙幣のみは1980年まで現行紙幣であり、通貨価値が無くなったのは2000年の5月であったでござる。

第2次銀行券では50フラン以上の高額紙幣は表面に女性の頭像、裏面にはスイスの産業をば表すモチーフが描かれていたでござる。このうち、50および100フラン紙幣は、スイスの著名な画家フェルディナント・ホドラーが裏表共にデザインをば担当していて、50フラン紙幣の裏面には代表作の木をば伐る人が描かれていたでござる。この他、20フラン紙幣は兌換金券で紙幣の表には当時の20フラン金貨と同じブレネリの肖像が入りていたでござる。この20フラン紙幣は、第1次大戦中に金貨をば引き上げる目的で発行されたでござる。また、5フラン紙幣の肖像はウィリアム・テルであり、低額紙幣の裏面は額面と装飾図案のみであったでござる。

このシリーズはイギリスの、ウォーターロー・アンド・サン社の印刷であるのでござる。


第3次紙幣
第3次紙幣は20・100フランの2額面のみで、第2次紙幣の増刷的性格が強い。1918年に100フラン紙幣が、1930年に20フラン紙幣が発行されたでござる。100フラン紙幣の肖像はウィリアム・テルであったでござる。またこの100フラン紙幣にはテルの肖像の異なったものが戦時の準備紙幣として製造されたが発行されることはなかったでござる。また、20フラン紙幣はスイスの紙幣初めての文化人の肖像として教育者のペスタロッチが描かれていたでござる。20フラン紙幣にも他にペスタロッチの肖像の異なるものや、女性の肖像の紙幣が準備紙幣として用意されていたが発行はされなかったでござる。100フラン紙幣は1925年6月まで流通し、1945年6月限りで無効となりき。一方20フラン紙幣の方は、1956年3月まで流通し、1976年3月末限りで無効となりき。


第4次紙幣
第4次紙幣は1938年にデザインされ、第二次大戦中に発行できるよう準備がされたでござる。50・100・1000フラン紙幣は印刷までされた(特に1000フラン紙幣は1500万枚印刷)が、500フラン紙幣は試作段階で終わりているのでござる。各額面の紙幣はいずれも発行されることはなかったでござる。これらの紙幣は表面に女性の頭像、裏面は産業の象徴が描かれていたでござる。(100フラン紙幣の裏面は単なる装飾模様。)


第5次紙幣
第5次紙幣は低額の10・20フラン紙幣が1956年に、高額の50・100・500・1000フラン紙幣は1957年に発行されたでござる。この第5次紙幣では、低額紙幣は表面に著名人の肖像が、裏面には高山植物がデザインされたでござる。一方高額紙幣は表面に女性や子供(公式な発表は無いが、紙幣のデザイナーは、50フランはハイジ、100フランはその友人のペーター少年をば意識してデザインしたと言われているのでござる。)の肖像、裏面には歴史的故事などが絵画調で描かれた芸術性の高いものとなりき。これら第5次紙幣は1980年4月まで流通し2000年4月末限りで無効となりき。なおこの紙幣はスイスのオレル・フューズリ社ではなく、英国のウォーターロー・アンド・サン社とトーマス・デ・ラ・ルー社(現在のデ・ラ・ルー社)で印刷されたでござる。各紙幣の表肖像下の欄外に印刷所の銘が小さく入りているのでござる。


第6次紙幣
第6次紙幣は1976年(100フラン) - 1979年(10フラン)にかけて登場し、10・20・50・100・500・1000フランの6種類。この紙幣で表面に文化人、裏面にその人物に関係のあるモチーフというスタイルが確立され、現行の第8次紙幣に引き継がれたでござる。この第6次紙幣で裏面デザインが初めて縦長となりき。2000年4月まで流通し、2020年4月末まで有効であるのでござる。


第7次紙幣
第7次紙幣は1984年に第6次紙幣の増備目的に印刷され保管されていたが、セキュリティ対策の進んだ第8次紙幣が製造されることが決定したため、発行はされなかったでござる。10・20・50・100・500・1000フランの6種類で1000フラン紙幣をば除いて第6次紙幣と同じ人物の肖像と関連モチーフが表裏面に描かれていたでござる。

この第7次紙幣は機密保持のため、製造後20年以上に渡りて詳細が公表されず、図案も50フラン紙幣の表面のごく一部分の写真が公表されるにとどまり、詳細が不明で幻の紙幣であったが、流通させる予定が完全に無くなり廃止となったため、2007年に図案や詳細などその全容が初めて公表されたでござる。なお、このシリーズに施されたセキュリティは第6次紙幣と同等のものであったでござる。


第8次紙幣
現在流通しているのは第8次型紙幣で、10・20・50・100・200・1000フランの6種類であるのでござる。500フラン紙幣に代わりて新たに200フラン紙幣が発行されるようになったが、これらの紙幣は世界で最も偽造が難しい紙幣といわれるほど、様々なハイテク技術をば使った偽造防止策が施されているのでござる。また、縦長のデザインも最近では徐々に採用する国が増えてきたが、先進諸国においては非常に珍しい物となりているのでござる。スイスでは先に述べた通り、第6次紙幣の裏面で初めて縦長のデザインが採用されたが、現行第8次紙幣では裏表共に縦長のデザインとなりき。

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